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OCVB、沖縄観光客の7~12月見通しを発表。9月以降は回復と悪化の2つのシナリオを想定

2020年7月30日 実施

一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 会長 下地芳郎氏

 OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)は7月30日に7月度定例記者懇談会を行ない、新型コロナウイルス関連の対応および取り組みについて発表した。

 沖縄県は新型コロナウイルス新規感染者が日々過去最高人数を記録しており、懇談会前日には初めて宮古島で感染者が確認されている。

 会の冒頭、OCVB会長の下地芳郎氏は「沖縄県では市中感染が広がっていると考えられる。我々は感染対策として、那覇空港での水際対策の強化、観光業界で取り組んでいるガイドライン順守の呼びかけを行なっている。本日は7月から12月までの入域見通しについても発表するが、非常に厳しい。観光業界のみならず、沖縄経済を支える皆さまの経営支援も必要になると考えている」と述べた。

 最初の説明は、旅行者専用相談センター(TACO)の運用状況について。TACOは那覇空港内に設置し、6月19日から運用が始まっている。TACOの業務の流れは、空港到着時にサーモグラフィで発熱が検出された旅行者に対して、問診を行ない、必要に応じてPCR検査へつなげる。旅行中の発熱者の相談窓口の役目も担っている。

 開設当初は那覇空港駐車場に停車中のワンボックスカーで問診を行なっていたが、7月23日の4連休から那覇空港 検疫所支所3階に設置(9時~17時)。時間外は従来同様ワンボックスカーで実施している。

 7月27日時点での対応件数は、サーモグラフィ感知者への対応が21件、問診実施が8件、そのうち2件を検査へつなぎ、1件が検査済みの確認が取れている。また救急車呼び出しが1件あったが新型コロナではなく持病による発熱だったとのこと。

 現状の課題として、検温場所の変更の必要性を挙げた。現在は到着口からロビーへ出たところにサーモグラフィを設置しているが、呼び止めに応じてもらえないこともあるため、到着口を出る前までに設置できないか検討を進めている。また、PCR検査から結果が出るまでに1~2日かかることも課題として挙がった。旅行者は滞在日数が限られているため、すぐに結果が出ることが好ましいためだ。

 続いて、7月~12月の入域数見通しについて発表した。

 沖縄県の5月の入域数は4万4000人で前年同月比で約5%(2019年5月実績:83万4900人)、6月は14万4100人で約17%(同86万8200人)だった。

 7月以降は、外国客は空路海路とも全休として算出、国内客については9月以降については緩やかな回復の動きがある場合と悪化の場合の二通りを算出した。

 それによると、7月は国内客前年比40.0%(全体前年比27.4%)、8月は同45.0%(全体32.5%)。

 9月は回復想定で同55.0%(全体40.1%)、悪化想定で同50.0%(全体36.5%)。10月は回復想定で同50.0%(全体36.3%)、悪化想定で同45.0%(全体32.7%)。11月は回復想定で同60.0%(全体44.9%)、悪化想定で同45.0%(全体33.7%)。12月は回復想定で同60.0%(全体45.2%)、悪化想定で同40.0%(全体30.2%)。

 なお、6月定例懇談会では8月の国内客を前年比50%と想定したが、Go To トラベルの準備不足などで効果が期待ほど見込めず下方修正。秋には修学旅行の春季からの時期移動が見込まれていたが、今後の状況変化によって中止が出る可能性もある。

 下地会長は、「5~6月は新規感染者が出なかったので一定の回復が見られると想定していたが、7月に入ってからの感染者増で先が読めなくなった。県内の感染状況で旅行マインドも変わってくる。観光客の滞在中の体調不安への対応も必要だ。

 年間の入域数は400万人に満たないと予想している。観光史上ない落ち込みである。しかしながら沖縄の魅力が落ちるわけでなく、ポテンシャルは強いと考える。観光自体の構造改革も必要ではないか。観光客が増えていても県民生活への還元が感じられなかったり、環境への悪影響などの問題があったりした。回復時には観光収益が県民所得にもつながるよう、今こそ転換するときではないか」とコメントした。

 なお、懇談会翌日の7月31日には沖縄県の新規感染者が71人に。玉城デニー知事は県独自の緊急事態宣言を発令。8月15日までの不要不急の外出の自粛や、飲食店への営業時短要請などを呼びかけた。