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「奈良 蔦屋書店」4月4日グランドオープン。県最大級の約16万冊。コーヒーとともにリラックスして本に親しめる場

奈良県コンベンションセンター内にオープン

2020年4月1日~4月3日 プレオープン

2020年4月4日 グランドオープン

奈良コンベンションセンターにグランドオープンする「奈良 蔦屋書店」

 プレシード・パートナーズと関西TSUTAYAは、4月1日に開業した「奈良県コンベンションセンター」の観光振興施設として「奈良 蔦屋書店」を4月4日にグランドオープンする(4月1日からプレオープン)。

 奈良県コンベンションセンターは、奈良での滞在型観光、人々の交流を促進する新たな拠点としてPFI事業(Private Finance Initiative:公共施設の維持管理、運営などに民間の資金、経営能力、技術的能力を活用すること)として整備が進められてきたもの。

 2000名収容のコンベンションホールや約500名収容の天平ホール、大小会議室や屋外多目的広場を備えるほか、JWマリオットホテルの誘致、NHK奈良放送会館の移転、そして新たなコンセプトの奈良 蔦屋書店の出店などを軸として観光振興を図る。3月30日に開かれた奈良 蔦屋書店内覧会をレポートする。

奈良 蔦屋書店
「奈良 蔦屋書店」概要

グランドオープン日: 2020年4月4日(4月1日からプレオープン)
営業時間: 8時~23時(年中無休)
所在地: 奈良県奈良市三条大路1丁目691-1
アクセス: 近鉄奈良線 新大宮駅から徒歩約10分、JR奈良駅から徒歩約15分
駐車場: コンベンションセンター・JWマリオットホテル共同で400台(30分100円)
TEL: 0742-35-0600
Webサイト: 奈良 蔦屋書店

 奈良 蔦屋書店のコンセプトは「文化に囲まれ、毎日、好奇心の扉を開く場」。緑と木のぬくもりが感じられるよう設計した空間に、圧倒的な品揃えを誇る。

 また、常設アートギャラリー「天平ギャラリー」では、アート展示や、地域の人々がつながるイベントの開催も予定。さらに生活雑貨店「中川政七商店」とも初コラボし、弁当のレシピなどを紹介する本と、弁当箱や弁当づくりのグッズを一緒にディスプレイするといった、本と暮らしの道具が一緒に楽しめるような展示を行なう。

 店内にはベンチやテーブル、チェアが多く置かれ、スターバックスの店舗も入っている。購入前の本でも自由に手に取って近くのベンチに腰を下ろし、コーヒーとともに読書が楽しむことができ、こうした「BOOK&CAFE」の形態として「奈良 蔦屋書店」は地域最大級の座席数になるという。

奈良コンベンションセンターはコンベンション施設(左)と蔦屋書店が入る観光振興施設(右)から成る
コンベンション施設側から見た観光振興施設。1階はもちろん、2階通路でも接続
奈良 蔦屋書店は観光振興施設の1階と2階に出店
コンベンション施設と奈良 蔦屋書店は外観を統一している

奈良 蔦屋書店 1階「コーヒーとともに、本や生活雑貨を楽しむフロア」

ベンチに腰掛け、カフェとともに自由に本に親しめる店内

 1階は、食/くらし/アート/人文/旅/児童書/読み物/ワークスタイル/文具雑貨を扱っている。メインエントランスから店内に入ると、まず感じるのがコーヒーの香り。店内中央部、エントランスからも見える位置にスターバックスがあり、バラエティ豊かなドリンクやサンドイッチなどが楽しめる。ストアの隣にはテーブルとチェアが並び、また植栽(後述)の周りのベンチに腰掛けて緑の空間での飲食も可能。エントランス横には、よりゆったりとくつろげるサロンも用意している。

メインエントランスを入るとスターバックスがあり、コーヒーの香りが漂ってくる
和の庭園を思わせる植栽とベンチ。ベンチは地元奈良のブランド材「吉野杉」を使用
プラントハンター西畠清順氏による「植栽」。内容は定期的に変更されるという
日本三大美林の一つ「吉野杉」は、節が少なく年輪も緻密で均等。木のぬくもりが感じられる
店内のくつろげるスペースのなかで最もゆったりと過ごせる「天平サロン」
食やくらし、歴史などの選書が部屋のようなスペースに分かれている「連続する小部屋」
本に囲まれた同じ形の空間だが、ジャンルによって本棚の表情が異なるところが面白い
奈良 蔦屋書店は県最大級・約16万冊の本を揃える
スペースは広々ととられており、ゆっくり本を吟味できそうだ。文具、雑貨なども充実。まるでデパートのような品ぞろえで、本以外の目的で訪れても楽しい
店内の数か所にテーブルとチェアを設置、購入前の本を持ってゆったりと過ごせる。「本とコーヒーをお楽しみください」というプレートまで設置している

関西最大級の規模を誇る「中川政七商店」

中川政七商店は、蔦屋書店の選書とともに「暮らしの道具」を提案する

 店内には、中川政七商店の売り場が2か所ある。一つは約33坪に生活雑貨を約2800点取りそろえており、もう一つは約17坪に奈良土産などが約1000点。中川政七商店は、約300年前の1716年に現在の奈良県で創業し、現在は生活雑貨の製造小売を営んでいる。かつては上布(上等な麻布)を生産しており、明治時代には宮内省(当時)御用達にも指定されている。その伝統と、長年培ってきた技術力、オリジナリティには定評があり、同社の生活雑貨はお土産や贈答としても喜ばれている。

 蔦屋書店とは初めてのコラボ店であり、本と雑貨、カフェと雑貨が同時に楽しめる空間を展開する。中川政七商店の暮らしの道具と蔦屋書店の選書をミックスすることで、工芸の新たな魅力に触れられる。奈良 蔦屋書店限定の商品や、コーヒーと一緒に楽しめる焼き菓子なども販売し、その場でオーダーできる刺繍サービスもある。この刺繍にも当店限定のものが用意されているという。

暮らしの道具や雑貨と本が一緒に並んでいる売り場。アイテム数は約2800とのこと
明るい空間にセンスのよい工芸品が並んでいる
弁当箱や弁当づくりのグッズコーナー。上段中央に弁当に関連する書籍(蔦屋書店による選書)があり、レシピも道具も一緒に手に入れられる
こちらは香りに関する本とお香やアロマポットなどが並ぶコーナー
手織り麻の文庫本カバー。鶯色のものは奈良 蔦屋書店限定販売だ
ブックカバーやハンカチにはイニシャルなどの刺繍を入れることも。チェアに座って本を読む鹿の刺繍も奈良 蔦屋書店限定
奈良のお土産やギフトを中心とした売り場
自分用にも贈答用にもなりそうな中川政七商店オリジナルのグッズ
okashiya kiiro (オカシヤ キイロ)と中川政七商店が開発した「奈良シトロン」。お土産だけでなく、コーヒーとともに店内でも楽しめる
売り場を案内する株式会社中川政七商店 ブランドマネジメント室 広報の須藤萌恵氏

店内各所にアート作品を展示

奈良 蔦屋書店の店内にはこうしたアート作品がいくつか展示されている
現代美術家、名和晃平氏の「Trans Sacred Deer(g/p_cloud)」。鹿を題材にした作品で、ここにしかないものだ
カフェに隣接する壁には、奈良地方で生産されてきた高級麻織物「奈良晒」の研究で平成29年度水木十五堂賞を受賞した吉田真一郎氏の作品
人間国宝だった祖父から和紙の極薄手漉き技術を兄弟で伝承したという浜田兄弟の作品
プロダクトデザイナーの菅野大門氏の「ことばの蔦」。字が集まれば言葉になり、言葉が集まれば本になる。一つだけ、「蔦」という字があるそうだ

コンビニエンスストアを併設

 1階にはファミリーマートも出店する。弁当や飲み物、スイーツなどのコンビニ定番商品以外に、日々の生活の楽しさが感じられることをテーマに、文具、雑貨、奈良の土産物なども取りそろえる。床面や天井照明、店内のBGMなどは奈良 蔦屋書店の雰囲気に合わせたシックで落ち着いたものになっている。

奈良 蔦屋書店に調和したファミリーマート。コンビニとしての品ぞろえのほか、奈良のお土産も扱う

奈良 蔦屋書店 2階「子供向け・学習書籍とレストランのフロア」

2階にある60席のレストランスペース。近くには授乳室などもある

 2階は学習参考書/語学/コミック/ライトノベルを扱う。また、アート作品が展示され、「天平ギャラリー」ではBIG BOOK、仏像などをとおして奈良の歴史をアートの域まで高めた先人の叡智にも触れることができる。また、カウンターとテーブルからなる広々としたレストランスペースのほか、外部の事業者による雑貨や食品、化粧品などの展示販売ブースも設けられる。レストランとこれらのブースは定期的に入れ替わるそうだ。

1階メインエントランス正面のエスカレーター(上りのみ)で2階へ。階段、エレベーターも利用できる
学習参考書、コミック、ライトノベルのエリア
学習参考書のコーナーには「まなびえ」として、勉強できるテーブルとチェアも配置。学生の下校時や社会人の帰宅時にちょっとした学びの時間がとれる
レストラン。アートに関する書籍なども置かれており、食事と一緒に楽しめる
奈良で研鑽を積んだ日本を代表する書家・紫舟氏による書と絵を展示
奈良の美などに触れられる「天平ギャラリー」
B2サイズの超大型本で、圧倒的な美も堪能できる。閲覧用に手袋も用意されていた
外部の事業者による雑貨や食品などの展示販売ブース。リアルタイムで注目されているコンテンツが集まるという
究極の柔らかさを追求した、小原木本舗 大徳屋長久の「大福 Daihfuku」は女性に人気だという
Wacleと小原木本舗 大徳屋長久による「さわってつくってたべる絵本」。絵本を読みながら和菓子づくりが楽しめる。奈良 蔦屋書店で購入できるほか、通販も行なっている
化粧品などの販売を手掛けるJPS LABOは、保湿ケア、オーラルケア、ヘッドスパなどの商品を展示。いずれも低価格で高品質の商品で、とくに関西エリアの女性に人気だという
化粧品を扱うブースには隣接して、美容関係の書籍も並んでいた

店内全体を自由に楽しんでいただきたい

 奈良 蔦屋書店 店長の久保田晋氏に話を聞いた。久保田氏は奈良 蔦屋書店のプロジェクトに初期からかかわってきたという。「奈良県にはこれまで、地元の皆さまに(ライフスタイルを)“提案する”カタチの店舗がありませんでした。そこで(こういった施設をつくって)奈良県を盛り上げていこうと考えました」。

「文化に囲まれ、毎日、好奇心の扉を開く場」というコンセプトをどのように実現するか、お客さまに毎日来ていただいて楽しんでいただける空間をどうやってつくるかという点にこだわり、そして苦労したという。「メインのエントランスを入って正面にある植栽はインパクトがありますが、こちらは毎月変わる予定です」と久保田氏。頻繁に訪れても新鮮に感じてもらえるような工夫だという。

 また、久保田氏は奈良 蔦屋書店について「“過ごす”ということを重視して設計しておりますので、お客さまには店内すべてを楽しんでいただきたい」と話す。蔵書数は奈良県最大級の約16万冊。購入前の本でも読める工夫も凝らしている。「(植栽の)奥には『連続する小部屋』が並んでいますし、店内には中川政七商店さんも2か所にあります。お客さまには、コーヒー片手に店内をぐるっと回っていただいて、名和晃平さんをはじめとする作品なども楽しんでいただきたいですし、ご購入前の本でも自由に楽しんでいただきたいです。お好きなように時間をお過ごしいただければと思います」と話す。

奈良 蔦屋書店 店長 久保田晋氏

 歴史ある奈良という地で暮らす知性を持つ大人向けのライフスタイル提案型書店として誕生する「奈良 蔦屋書店」は、奈良県最大の会議場や観光交流拠点となる「奈良コンベンションセンター」とともに、国内外の観光客の憩いの場としての機能も有している。奈良観光の拠点としてはもちろん、23時まで営業時間しているため、奈良の文化や歴史を学んだり、翌日の観光の下調べができたりする場としても、この新たな店舗は大きな存在となるだろう。