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科博の「YS-11」が道路を走る。羽田空港から展示場所のヒロサワ・シティへ陸送

運送は鉄道車両輸送に実績あるアチハ

2020年3月27日~28日 実施

YS-11の量産初号機「JA8610」を羽田空港から茨城県筑西市のザ・ヒロサワ・シティへ陸上輸送

 科博(国立科学博物館)は、3月27日から28日にかけて、同館が保有するYS-11型機の量産初号機「JA8610」の移設作業を行なった。

 この機体は、日本唯一の国産民間旅客機として製造されたYS-11の量産初号機で、当時の運輸省(現在の国土交通省)航空局に納入され、「ちよだII」として運航。1998年12月まで運航を続けたあと、科博や運輸省、文部省(現在の文部科学省)、JAL(日本航空)が羽田空港内の格納庫で保管することで覚書を締結。2016年から空港施設株式会社の格納庫で保管されてきた。

 このYS-11量産初号機は、茨城県筑西市のザ・ヒロサワ・シティへ移転し、一般展示されることが決まった。そのため、2019年9月30日から移設に向けた解体作業が進められてきた。その最終段階となる、胴体と主翼の分解作業については、関連記事「科博、国産旅客機『YS-11』量産初号機の解体作業公開。胴体と左主翼を分離。今後は茨城県筑西市で一般公開予定」でもお伝えしたとおりだ。

 上記記事では左主翼の胴体から取り外す様子を取材したが、その後、右主翼も取り外し、胴体、左主翼、右主翼をヒロサワ・シティへの輸送する作業が3月27日から28日にかけて行なわれた。

 輸送は、牽引貨物トレーラーを用いての陸送によるもの。鉄道輸送でも実績豊富な大阪府のアチハが担った。

 3月27日には空港施設の格納庫内で、トレーラーの荷台へ胴体、主翼それぞれを積載。クレーンを使って積み込まれ、高さの確認などが行なわれた。そして夕方ごろに格納庫から出発。夜まで羽田空港の敷地内で待機した。

輸送のためトレーラーに積み込まれたYS-11
胴体。胴体の長さは28mとのことで、トレーラーの長さを含めると40m近いの長さとなる
左主翼。プロペラは先にザ・ヒロサワ・シティへ運ばれている
右主翼
空港施設の格納庫から運び出されるYS-11量産初号機

 そして、深夜。YS-11を積み込んだトレーラーが羽田空港から茨城県筑西市に向けて出発。高速道路は通行できないため、国道15号で品川駅前、国道4号へ入り上野駅前、千住大橋と都内を通過。早朝に筑西市のヒロサワ・シティに到着するスケジュールで移動した。

 ヒロサワ・シティへは今回輸送分以外にも分解したパーツを搬入済み。今回の胴体、主翼の搬入をもって、組み立てに取りかかる。展示用施設も用意され、準備ができ次第、一般公開される予定となっている。

品川駅前を通過するYS-11量産初号機の胴体
国道15号 品川駅前を通過。主翼にはカバーが掛けられていた
国道4号 千住大橋を通過