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京都鉄道博物館へ徒歩5分の新駅誕生。JR西日本、3月16日開業の嵯峨野線「梅小路京都西駅」内覧会

2019年2月21日 公開

2019年3月16日 開業

JR嵯峨野線 京都駅~丹波口駅間で3月16日に開業する「梅小路京都西(うめこうじきょうとにし)駅」

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は2月21日、JR嵯峨野線 京都駅~丹波口駅間に建設している新駅「梅小路京都西(うめこうじきょうとにし)」駅を、3月16日のダイヤ改正に合わせて開業するにあたり、報道向けに内覧会を実施した。

 梅小路京都西駅は京都駅の西側約1.7km、丹波口駅の南側約0.8kmに位置する、梅小路公園や京都鉄道博物館に隣接する駅。地元や商工会からの要望を受け、2015年2月にJR西日本と京都市が「基本合意書」を締結、2016年9月から建設を進めてきたもの。

梅小路京都西駅の位置図

 駅名は、京都市が公募した中で最も多かったキーワード「梅小路」と、京都駅の西側に位置していること、また京都観光の新たなサブゲートとしての役割を持たせるべく「京都」「西」を付与し、JR西日本が決定した。これらの詳しい内容については関連記事「JR西日本、京都鉄道博物館前の新駅名を『梅小路京都西』駅に決定。梅小路地域活性化や京都駅の機能分散を目指す」で紹介しているので、そちらを参照されたい。

 なお、開業後の運行本数は平日の上下線が各68本、土日祝が67本で、普通列車が停車する予定。所要時間は京都駅間は3分、嵯峨嵐山駅間は14分。1日の乗降者数は約7000名を見込む。

公園と調和し地域のシンボルとなるような駅外壁デザイン

梅小路京都西駅。アクセントに曲線や「梅柄(光琳梅)」、伝統色の「利休鼠(りきゅうねず)」を用いて京都らしさを表現

 梅小路京都西駅は、嵯峨野線の高架区間を挟むように相対式2面でホームを設置、高架下に駅の入り口を設けている。

 駅の基本コンセプトは「梅小路公園および京都市西部エリアの玄関口として、鉄道を意識していただきつつ、地域との連携を育むデザイン」。駅の外壁には京都の街並みの「縦格子・縦縞」、京友禅反物の「縦長矩形」、工芸品として用いられる「梅柄(光琳梅)」を採用し、公園と調和し地域のシンボルとなるように、ホーム外壁や入り口部には曲面を用いて、京都らしい色彩計画としている。

駅の概要を説明する西日本旅客鉄道株式会社 京都工事所 係長 堀慎一氏
京都鉄道博物館のゲート前から駅を見たところ。外壁が丸みを帯びたデザインになっている
七条通り側から見た梅小路京都西駅
京都の街並みの「縦格子・縦縞」と京友禅反物の「縦長矩形」がデザインされた七条通り架道橋
ホーム部分の外壁にも丸みを帯びたデザインを使用

 デザインについて説明したJR西日本 京都建築工事所 所長の中西哲也氏は「京都らしさを表現するということに重点を置き、デザインをまとめた」と話し、駅入り口部などには、公園となじむよう伝統色の「利休鼠(りきゅうねず)」を使用したこと、また「梅柄(光琳梅)」を使ったことなどもポイントとした。

デザインの説明をする西日本旅客鉄道株式会社 京都建築工事所 所長の中西哲也氏
入り口部にはアクセントに曲線が用いられている
「梅柄(光琳梅)」
緑色の伝統色「利休鼠(りきゅうねず)」
券売機は3台
自動改札は4通路

駅コンコース部分

駅コンコース部分

 梅小路京都西駅の駅コンコースは、京都市産の木材を使用し、窓を多く配置した明るい作りになっている。駅コンコースは前述のとおり既存の嵯峨野線の高架下に作られているため、コンコースの中央に柱があるが、中西氏は「利用者が狭さを感じるのではということで、あえて何か加工はせず、そのままの柱を活かせるようなデザイン計画にしている」と説明した。

 外壁で使った曲線や伝統色を内部でも使用しているほか、コンコース内の統一性を持たせるために天井にも木質系の素材を使い、照明を埋め混むことで柔らかな光にする工夫などもしている。

 ホームへの接続はエレベータ2基(各ホーム1基)、上下エスカレータ4基(各ホームに上下1基ずつ)、階段を設置。駅が梅小路公園、京都鉄道博物館、京都水族館、京都市中央卸売市場といった観光地に近いことから、ベビーカーの利用や海外からの観光客の利用を想定し、自動改札や階段、ホームの幅もゆったりとした設定にしている。

駅コンコース部分。1番線行きのエレベータ前から見たところ
コンコースの奥側にトイレがある。窓があり明るい雰囲気
天井にも木質系の素材を用いて、内装に統一感を持たせている。照明は埋め込むことで柔らかい光を演出
内部にも伝統色の「利休鼠」が使われている
1番線 京都方面ホーム行きエレベータ
1番線 京都方面ホーム行きエスカレータ
乗り越し精算機
2番線 嵯峨嵐山・園部・福知山方面ホーム行きエレベータ
2番線 嵯峨嵐山・園部・福知山方面ホーム行きエスカレータ
2番線 嵯峨嵐山・園部・福知山方面ホーム行き階段。大きな窓があり景色も楽しめる

 またトイレは男性用/女性用、多機能トイレ(2か所)のほかに、子供連れの利用を想定して子供用トイレや授乳室を設けている。デザインにもこだわり、トイレの壁には京都市産の木材「みやこ杣木(みやこそまぎ)」を採用している。

トイレは男性用/女性用のほか、多機能トイレ(2か所)、子供用トイレや授乳室を設けている
男性用トイレ
女性用トイレ
多目的トイレ
授乳室
子供用トイレ

ホーム部分

相対式の2面ホーム

 ホームは相対式の2面ホームで、全長は163m(8両対応、1両=約20m)。京都駅側の4両分ある幅広部のホーム幅は6.7m、丹波口駅側の4両分ある一般部のホーム幅は通常の3mとなっている。なお、梅小路京都駅では嵯峨野線で初めてホーム柵が設置されているが、同駅は、ホームの半分あたりから京都に向かって下りの勾配がついており、下り勾配中の停車となるため、運転手が手動で行なう列車停止精度に余裕を持たせるため、開口部の広い二重引き戸式の可動式ホーム柵を採用している。

京都駅側のホーム幅は6.7m
丹波口駅側のホーム幅は3m
ホーム柵は開口部の広い重引き戸式の可動式ホーム柵を採用

 また、ホームにも窓を多く取り入れているほか、背面には木材のベンチを設置している。これについて中西氏は「ただ駅に来ていただくというのではなく、眺望がいい場所ですので、七条通りから東山、西山を眺めていただいたり、ホームからは公園や京都タワー、京都鉄道博物館、京都水族館も見えますので、ぜひ景色を楽しんでほしい」と述べた。

窓が多く、木製のベンチが設置されている
1番線ホームの窓から見た眺め。京都タワーや奥には水族館も見える
1番線のエレベータは京都駅側(1両目)にある
エレベータ付近からは京都鉄道博物館が見える
2番線も京都駅側(8両目)にエレベータを設置
ここからも京都鉄道博物館が見える
緑の館(レストラン)も見える
改札を出ると目の前が京都鉄道博物館
駅を背にすると、正面には京都タワーが見える
駅を背に左に歩くと七条通り
駅を背に右に歩くと京都鉄道博物館
京都水族館方面から歩いてくると見える景色

 3月16日に開業する梅小路京都西駅周辺は、梅小路公園に隣接する京都鉄道博物館、京都水族館などのほかに、再整備が行なわれている京都市中央卸売市場、また宿泊施設として「ファーストキャビンST. 京都梅小路 RYOKAN」「Umekoji Potel KYOTO(梅小路ポテル京都)」などが開業予定であるなど、開発が進んでいる。

 内覧会を終えてあいさつした中西氏は「周辺の地域にお住まいの皆さまのほかに、梅小路公園に来ていただいた行楽のお客さま、市場に来ていただくお客さまなど、さまざまな人に利用してもらいたい。周辺には市場や水族館など観光地が集積している。発展に期待したい」と話した。

「梅小路京都西駅」の名前が入ったJRきっぷ運賃表