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東京/成田~イスラエル間で初の直行チャーター便。駐日イスラエル大使「直行便を就航すべきときが来た」

サンドール・インターナショナルが9月に2往復。片道約12時間

2019年2月6日 発表

2019年9月13~14日/20~21日 運航

東京圏の空港からは初めてとなるイスラエル間を結ぶチャーター便運航が決定したことを受け、イスラエル大使公邸で記者会見が行なわれた

 国土交通省 観光庁、同 航空局、イスラエル大使館は2月6日、東京・成田国際空港~イスラエルのテルアビブ・ベングリオン空港間で初めてとなるチャーター便が運航されることを発表し、同日、イスラエル大使公邸で記者会見を行なった。

 このチャーター便は、2018年5月に行なわれた日本・イスラエルの首脳会談において、経済分野を含めた両国の関係強化の促進を確認し、将来の直行便運航を見据えて、まずは需要増大のために直行チャーター便の実現を目指すこととしたもの。2018年9月には、観光庁、航空局、外務省、JATA(日本旅行業協会)がイスラエルを訪問し、イスラエル政府との間でチャーター便運航の可能性について協議。

 その後、民間ベースでチャーター便の運航に関する具体的な調整が行なわれた結果、イスラエルの航空会社で、エル・アル航空子会社のサンドール・インターナショナルと、日本の旅行会社であるワールド航空サービスが、9月13日~21日の間に日本~イスラエル間で2往復のチャーター便を運航する契約が締結されたもの。

 過去、関空(関西国際空港)など東京以外の地域とイスラエルを結ぶ直行チャーター便などが運航されたことはあるが、東京(羽田/成田)の空港とイスラエルと結ぶ直行便は今回が初めてのこと。

 運航日とダイヤは下記のとおりで、日本発、イスラエル発それぞれで旅行商品を販売し、相互に送客を行なうのが特徴となっている。

日本からイスラエルへの渡航

9月14日:成田(13時30分)発~テルアビブ(20時00分)着
9月20日:テルアビブ(16時30分)発~成田(翌10時00分)着

イスラエルから日本への渡航

9月13日:テルアビブ(16時30分)発~成田(翌10時00分)着
9月21日:成田(13時30分)発~テルアビブ(20時00分)着

 機材はエル・アル航空のボーイング 777-200型機(計270席、ファーストクラス6席/ビジネスクラス34席/エコノミークラス230席)を用い、日本発はワールド航空サービス、阪急交通社、クラブツーリズムが旅行商品を販売する。代金は旅行商品にもよるがエコノミークラス使用で30万円台から。

駐日イスラエル大使 ヤッファ・ベンアリ氏

 記者会見で駐日イスラエル大使のヤッファ・ベンアリ氏は、チャーター便の運航について「両国関係の発展を表わす大きな象徴的な絵となった。両国政府の友好的関係をこれから築いていこうという意欲が高まっていることを表わしている。日本の安倍首相、イスラエルのネタニヤフ首相の双方が、両国間に直行便を就航させることの重要性を主張していた」として、喜びを示すとともに、両国間の交流人口拡大について数字を紹介。

 それによると、過去4年間で80社の日本企業がイスラエルにオフィスを開設したり、イスラエル企業へ投資したりしており、日本からイスラエル企業への投資額は4年間で120倍に伸長。交流人口は、日本からイスラエルへの訪問者が2018年は約2万人と、2年前から65%の伸び。イスラエルから日本への訪問者は4万人に達する勢いだという。

 こうした状況にあることから、「直行便を就航すべきときがきた」と強調し、中国、香港、韓国などアジア各国の航空会社が定期便を運航していることを紹介。「日本の航空会社も、ぜひイスラエルに乗り入れを開始していただくべきときだと考える」と求めた。

 ちなみに、会見後に直行定期便就航にあたっての課題を尋ねると、「『卵が先か、鶏が先か』の問題。(航空会社との協議を通じて)年間8万人の需要がないと難しいと言われているが、直行便がないから需要が伸びず、需要がないから直行便が飛ばない。チャーター便の運航などを通じて需要を喚起していきたい」とコメント。会見でも「非常に大きな可能性があり、日本、イスラエル双方から直行便の必要性はかねてから叫ばれてきた。今回のチャーター便が、この先、両国の相互往来の必要性をさらに示してくれることを期待している。こうしたことを通じて、国と国、人と人の相互往来の重要性を認識してもらえればと思っている」と話し、チャーター便の結果も示しながら、今後も航空会社への誘致活動を進めていく考えを示した。

 イスラエル旅行については、「チャーター便によりわずか12時間で移動が可能。(他国経由に比べて)約30%短くなる」と直行便の魅力を話すとともに、「イスラエルは小さな国とお考えと思うが、小さいが変化に富んでおり、一般的には非常に温暖な気候。小さな国なので、それぞれの目的地の間の距離が短いので、1週間もあればツアーを満喫できる。南~北まで、森が茂る地域もあれば、砂漠もある。砂漠に咲く花も楽しめる。いろいろな景色や、イスラエルの印象深い文化を堪能するなど、素晴らしい休暇を過ごしていただける」とアピールした。

観光庁長官 田端浩氏

 続いて登壇した観光庁長官の田端浩氏は、「地中海に面した非常に美しい国であるとともに、歴史の宝庫。日本人旅行者にとって、非常に魅力的なデスティネーション。チャーター便を利用して、イスラエルの魅力を感じることができる多様な旅行商品が販売されるので、多くの旅行者にイスラエル旅行を楽しんでいただきたいと思う」とイスラエル旅行の魅力をコメント。

 運航される9月13日からは3連休となっていることを挙げ、「私もぜひ、チャーター便に乗っていきたいと思っている。勝手に言っているが、大使からも『ぜひ来てください』とお話があったので、ぜひうかがいたいと思っている」と笑いを誘った。

 今回のチャーター便については、「観光交流、相互理解の促進を通じて友好関係を強化するものなので、大きな意味を有している。交流人口は、2013年の2万8000人から、2017年には5万人にまで増加している。2018年も一層の増加傾向にあるので、さらに加速化していきたい」と説明。

 イスラエルからの訪日客誘致についても、2月12日/13日の2日間にわたり、JNTO(日本政府観光局)と在イスラエル大使館が連携して、イスラエルの旅行博に出展。本チャーター便を含む、日本への旅行をPRする。また、イスラエルからの訪日客向けの観光地として、「第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った“命のビザ”の発給で有名な杉原千畝さんゆかりの値である岐阜県八百津町には『杉原千畝記念館』が設立され、この周辺地域などを結んだ杉原千畝ルートが開発され、多くのイスラエルの方々が訪れている。また、本通常国会で安倍総理の施政方針演説で触れられた、石川県能登町の農家民宿群「春蘭の里」にも多くのイスラエルの方々が訪れて人気のスポットになっている」と紹介。「地方部にも多くのイスラエル人の方々が訪れており、観光庁としては地方へ多く訪れていただくことを進めているので、こういう動きが出ているのは望ましいと思っている」と話した。

 そして最後に、「両国の観光交流の拡大のためには、航空便数あるいは供給座席数の拡大が非常に重要。今回のチャーター便を契機に需要喚起されて、人的交流が一層拡大して、(定期)直行便の実現につながれば」との期待を述べた。

一般社団法人日本旅行業協会 会長 田川博己氏

 最後に、JATA会長の田川博己氏が登壇。「2015年に安倍総理の中央アジア訪問に同行し、ウズベキスタンとのチャーター便運航を約束。すぐに初年度に3本を実施し、2018年には14本、2019年には17本運航される見込みとなっている」といった過去の経験を話し、「最初の一歩がすごく大事だと思っており、その第一歩を双方向のチャーターで実現するのは非常に価値があると思っている。これまでは一方通行的なチャーターが多かったが、今回は相互に行なうので、その意味で『新しいチャーターの時代』を迎えたのではないか」と、今回のチャーター便運航の意義についてコメントした。

 同氏自身も、「旅行会社に勤務して40数年経ったが、一度は行ってみたい、行かなくてはいけない場所がいくつかある。イスラエルも一度は行ってみたい場所の一つだと思っているので、時間が許す限り私も行きたい」としつつ、「なかなか時間が許してくれない」と笑った。

 また、「今回は第1本目なので、これをいかに継続するかが我々に課せられた仕事だと思う。日本の旅行会社がよい商品を作り、お客さまに魅力を感じてもらえる多様な旅行商品を出し、今後も続けて、早く定期直行便を飛ばせるような流れに持っていきたいと思っている。チャーター便をきっかけに、今後さらに旅行商品造成が促進されることを期待したいし、引き続き頑張りたい」とあいさつを締めた。

チャーター便の旅行商品を販売する旅行会社の代表者や、外務省、国土交通省 航空局ら関係者が集まってフォトセッション