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東京メトロ、コンセントやWi-Fiを備えた丸ノ内線新型車両「2000系」公開

初代300系を踏襲した斬新なデザイン。2019年2月中旬から営業運行

2018年10月11日 公開

斬新なデザインの丸ノ内線新型車両「2000系」。奥に現行の02系が見える

 東京メトロ(東京地下鉄)は10月11日、中野車両基地で丸ノ内線の新型車両「2000系」を公開した。丸ノ内線に新車両が導入されるのは、現行の02系がデビューした1988年以来約30年ぶりとなる。2019年2月中旬から営業運行を開始する予定で、2022年度までに53編成318両を順次入れ替えていく。

 車体デザインは、インダストリアルデザイナーの福田哲夫氏と福田一郎氏が監修。初代300系の鮮やかな赤を復活させた「グローイング・スカーレット」をメインカラーとし、丸ノ内線を象徴する「サインウェーブ」のラインが車体横の窓上部にデザインしている。中央ではなく上部にしているのは、ホームドアがあっても見やすくするため。

 車両先端は運転席窓を含めて丸みを帯びた球形で、一目で区別できる印象的な形状となっている。車体前面の行先表示板は、中央上部に見やすくまとめられている。

 1編成は6両。すべての車両にフリースペースと車いすスペースを用意し、車両端の窓にも丸のデザインを取り入れ円形の窓が付いている。台車は銀座線で実績のある片軸操舵台車を採用し、カーブ走行時の振動、レールと車輪の摩擦音を減らし、乗り心地も向上している。駆動に永久磁石同期電動機(PMSM)と高効率のVVVFインバータ制御を採用し、02系のVVVF車両と比較して約27%の電力を削減。万一脱線した際には、自動的に列車を停止させる脱線検知装置や、停電時に最寄り駅まで走行できる非常走行用のバッテリーを搭載している。

丸ノ内線新型車両「2000系」。先頭は丸みを帯びたデザイン
丸ノ内線新型車両「2000系」正面。円をモチーフにしたデザイン
丸ノ内線新型車両「2000系」。こちらの側面には線路脇に給電用のサードレールがある
車両先頭部分。先端が丸くなっているのが分かる
フルカラーLEDの行先表示板
前照灯も円をモチーフにした斬新なデザイン
先頭車両のサインウェーブは、大胆に斜めに入っている
中間車両の2号車。サインウェーブは上部ラインとして入っている
車両端には円形の窓があしらわれている。ここはフリースペースや優先席がある
型式表示
連結器
台車は、銀座線で実績のある片軸操舵方式を採用
台車のコレクターシュー。丸ノ内線はサードレールから給電する方式
高効率のVVVFインバーター。主電動機にはPMSMを採用する。02系より約27%の電力削減
停電時に最寄り駅まで走行できるよう非常走行用のバッテリーを搭載

 車内は、赤と黒を基調にしたシックなデザインで、荷棚や袖仕切、貫通扉にガラスを採用していて、見通しがよくなっている。シートは、ドア間8席で3+3+2にてスタンションポールで仕切られている。シートは一人あたりの座席幅を拡大していて、クッション性も高く座りやすい。

 客室内照明は、LED照明を採用し、荷棚がガラス製のため座席部分も明るい。天井部は高くしてドーム型になっていて、そこに球形のデザインが施されている。丸窓も含め「丸ノ内線」の「丸」がモチーフになっている。

 車内のドア上部には、17インチ液晶を3つ並べたディスプレイがあり、行先や乗り換えなどの情報表示は日本語/英語/中国語/韓国語の4か国語の表示に対応する。取材時は、2つが情報表示で、1つは広告などの動画を表示していた。このディスプレイ横には防犯カメラが設置されている。

車内全体。赤と黒を基調にしたシックなデザイン
車内全体。ドア付近のつり手は丸形
シートは、3+3+2の8人掛け
シートはへこみがあり、クッション性が高く座りやすい
袖仕切には一部ガラスがデザインされている
袖仕切のシート側
ロングシート上部のつり手はティアドロップ形状のデザイン
ドア付近
ドア上部に3連の液晶ディスプレイ。多言語表示に対応する
ディスプレイ横に防犯カメラを設置

 2000系の大きな特徴として、すべての車両にフリースペースと車いすスペースがあり、フリースペース部には100Vのコンセントと荷掛フックが2つずつ設けてある。これらは常時自由に使えるが、コンセントは特に緊急時のスマートフォン利用を考えてのことで、譲り合って使ってほしいとのことだ。また、訪日旅行者向けに無料Wi-Fiも搭載している。

各車両に設置されているフリースペースと優先席部分
円形の窓を採用する
フリースペースには100Vのコンセントと荷掛フックを2つ装備。譲り合って使いたい
100Vコンセントと荷掛フック。自由に使えるが、コンセントは特に緊急時のことを考えて設置
クッションがあり、軽く腰を当てられる
フリースペースがない側は全体が優先席となっている
貫通扉はガラス張り
貫通扉に衝突防止用の模様が付いている
丸ノ内線の路線図で駅モチーフの画(池袋=フクロウなど)が描かれている
車内の照明はLEDを採用
天井に球形のデザインがあしらわれている
高音質なステレオスピーカー
車内空調の能力を従来より約1.4倍にアップしている
荷棚はガラス製で上部に開放感がある
窓は上部から開閉可能
車両は日本車輌製造の豊川製作所が製造
運転台と先頭の貫通扉付近
運転台