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NEXCO西日本、3月18日15時開通の新名神 川西IC~神戸JCTを先行公開

高槻JCT・IC~神戸JCTが全線開通。「宝塚渋滞」解消へ

2018年3月8日 実施

NEXCO西日本管内で最大級となる上下線集約型の宝塚北SA(サービスエリア)

 NEXCO西日本(西日本高速道路)関西支社は、3月18日15時に開通する新名神高速道路(E1A)川西IC(インターチェンジ)~神戸JCT(ジャンクション)を報道関係者に公開した。

 公開されたのは川西IC~神戸JCTの約16.9kmにある「神戸JCT」「新名神武庫川橋(むこがわばし)」「生野大橋」「宝塚北SA」の4カ所。今回の開通により、2017年12月10日に開通している高槻JCT・IC~川西ICと合わせ、高槻JCT・IC~神戸JCT間が全通。ダブルネットワークが形成され、“宝塚渋滞”など、このエリアの渋滞解消や時間短縮が期待されると同時に、緊急時における名神高速道路と中国自動車道の代替路が確保されたことになる。

 取材陣を乗せたバスは神戸JCT側から川西ICへ移動したので、写真を中心に順番にお伝えしていく。

今回説明していただいた西日本高速道路株式会社 関西支社 新名神兵庫事務所 所長 大久保良和氏
3月18日に開通する区間

神戸JCT

3月18日に開通する新名神高速道路の上り車線から振り返って見た神戸JCT。交差する2本の高架は中国自動車道

 山陽自動車道(E2)、中国自動車道(E2A)と接続する神戸JCT。すでに開通している区間との接続工事のため走行している車両への細心の注意が必要だったという。今回、新名神高速道路が接続することで4方向への往来が可能となる。

上下各2車線で開通するが上下線の間には将来の片側3車線化を見越し用地が確保されていた
神戸JCTから見た高槻JCT・IC方面

新名神武庫川橋

新名神武庫川橋

 世界で初めて主桁ウェブにバタフライウェブを採用したエクストラドーズド橋(主塔よりのびる斜材により主桁を支える橋の1種)。全長442.2m。高槻JCT・IC~神戸JCT間のなかでは2番目に高い81.2mの橋脚を持つ。中国自動車道に「武庫川橋」がすでにあるので、こちらは「新名神武庫川橋」と名付けられた。

 バタフライウェブ構造とは、その名のとおり蝶の形をした高強度繊維補強コンクリートとPC鋼材が組み合わされた部材を箱桁ウェブに利用する構造で、橋全体の軽量化に寄与している。新名神武庫川橋の場合、この工法により橋全体で約10%の軽量化がなされ、橋脚の太さを抑えることができたので、河川の流れの阻害率を軽減したとのことだ。また、バタフライウェブ、そして橋脚はあらかじめ工場で生産されたプレキャスト部材を採用しているので、現場での鉄筋組立や型枠作業などの省力化も図られている。

新名神武庫川橋
蝶を縦にした形のバタフライウェブが並ぶ主桁
隣り合ったバタフライウェブの間には鳥などの進入を防ぐネットが貼ってある
橋脚もプレキャスト部材を使用しているのでその継ぎ目が見える
のり面に立つ橋脚の足元の形状は竹割工法によるもの
中国自動車道に「武庫川橋」がすでにあるので、こちらは「新名神武庫川橋」と名付けられた
奥に見えるのが新名神武庫川橋の4本の橋脚

生野大橋

生野大橋

 JR福知山線と交差している生野大橋は、その交差角度が約15度と非常に小さいため、橋脚と橋脚の間を広くする必要があり、最大支間長は188m(新名神武庫川大橋は100m)と長いのが特徴のエクストラドーズド橋。全長は606m。

生野大橋と交差するJR福知山線は交差角度が15度と小さいため橋脚と橋脚の間を広く取っている
斜張橋ならではの美しさを備える生野大橋

宝塚北SA(サービスエリア)/スマートIC

宝塚北SA

 宝塚北SAはNEXCO西日本管内で最大級となる上下線集約型のサービスエリア。「宝塚モダン」をコンセプトとし、宝塚市内、宝塚駅から宝塚大劇場方面に伸びる「花のみち」周辺部をイメージしたという南欧風の景観が特徴。施設内には南欧のホテルの中庭をイメージしたパティオを設け、イベントなどに活用できるレイアウトとなっている。敷地内にドッグランが用意されるほか、敷地が広大なためトイレは2カ所、ガソリンスタンドも設置される。また、宝塚市は漫画家 手塚治虫氏が5歳から24歳まで過ごしたゆかりの地ということで、施設内には手塚氏の作品「火の鳥」や「鉄腕アトム」の植え込みもあり、敷地内全体がコンセプトに基づいた設計がなされている。

「宝塚モダン」をコンセプトとした南欧風の景観が特徴的な宝塚北SA
南欧のホテルの中庭をイメージしたというパティオ
3月18日の開通を控え作業が進むドッグラン
漫画家 手塚治虫氏のゆかりの地、宝塚にちなんだ「火の鳥」や「鉄腕アトム」
1台1台の駐車マスに埋め込まれたセンサーにより駐車状況を把握し利用者に伝える。駐車部分にはアスファルトではなく耐油、耐久、耐熱性に優れたコンクリートを採用した
緑色は歩行者用の導線
誘導の看板
身障者用駐車スペースから施設には屋根が設置されている
ガソリンスタンド
スマートICは上下線の入り口、出口のすべてが利用できるが、上り線の出口と下り線の入り口のみSAの施設が利用できないので注意が必要。その際は敷地外に駐車場が用意されたウエルカムゲートから入場すれば施設の利用が可能

山間部ならではの工夫が盛り込まれた今回の開通区間

 今回の開通区間にはトンネルも多く、一部のトンネルには自走式のロボットカメラ(道場トンネル)やトンネル内を移動しながら点灯し、ドライバーに走行ペースを促すペースメーカーライト(六石山トンネル)が採用された。そのほか山間部ならではの霧の発生に備え、ドライバーに道路を認識しやすくなるような視線誘導のランプが設置されるなど安全対策も充実していた。

今回の開通区間にはトンネルと橋が多い
緑のランプは、霧発生時にドライバーに道路の路肩と線形を伝える
緑のライトはドライバーに走行ペースを促すペースメーカーライト
トンネル内壁のリング状に見える細い線は端部が欠けやすいコンクリートの剥落対策シート
今回公開された区間の終点、川西IC。前方が高槻方面

 3月18日15時の川西IC~神戸JCTの開通により、高槻~神戸間が全線開通する。この開通に合わせて、8月31日までは高槻IC、茨木千提寺IC、箕面とどろみIC、川西IC、宝塚スマートICを発着し、NEXCO西日本などが管理する兵庫県以東の各ICとの相互間を利用するすべての車両に対し、高槻IC~神戸JCTの利用分が最大半額割り引かれる「新名神開通割引」が適用される(関連記事「NEXCO西日本、3月18日開通の新名神 川西IC~神戸JCT間の通行料金発表。最大半額の開通割引も」)。